四十二歳、会社員。僕が自分の頭頂部に一抹の不安を覚え始めたのは、四十歳を過ぎた頃でした。合わせ鏡で見たつむじ周りの地肌が、どうにも以前より目立つ気がする。高価な育毛剤に手を出す勇気はまだなく、かといって何もしないでいるのも怖い。そんな僕が、半信半半疑で手にしたのが、一台の電動頭皮マッサージャーでした。正直、最初は「こんなもので髪が生えるわけがない」と、気休め程度にしか考えていませんでした。しかし、その夜、シャンプー後の頭皮にマッサージャーを当ててみて、僕はその考えを改めることになります。四つの突起が、まるでプロのヘッドスパニストの指のように、凝り固まった僕の頭皮をぐりぐりと揉みほぐしていく。その心地よさと言ったら、一日の仕事の疲れが頭から溶けていくようでした。気持ちいいから、とりあえず毎日続けてみよう。そんな軽い気持ちで始めた習慣が、僕の頭皮と髪に、そして心に、予想以上の変化をもたらしてくれたのです。まず感じたのは、頭皮の柔らかさの変化です。使い始める前はカチカチに硬かった頭皮が、一ヶ月も続けると指でつまめるほどに弾力を取り戻しました。血行が良くなっているのが実感でき、顔色まで明るくなったような気がします。そして三ヶ月が過ぎた頃、美容師さんから「最近、髪の根元がしっかりしてきましたね」と言われました。自分では気づかないような小さな変化でしたが、専門家からのその一言は、僕にとって大きな自信となりました。もちろん、マッサージャーだけで髪がフサフサに増えたわけではありません。しかし、頭皮環境という「土壌」が確実に改善されているという手応えは、僕を前向きな気持ちにさせてくれました。何より、毎晩のマッサージタイムは、僕にとって一日の終わりを告げる最高のリラックス儀式となっています。薄毛対策というと、どこか悲壮感が漂いがちですが、僕にとってこのグッズは、自分を労わるための「ご褒美」のような存在です。悩んで何もしないより、心地よい習慣を一つ始めてみる。その小さな一歩が、未来を変えるきっかけになるのかもしれません。