鏡を見たとき、あるいはシャワーを浴びているときに、「あれ?」と自分の髪に違和感を覚えた経験はありませんか。それは気のせいかもしれませんし、薄毛が静かに始まっているサインかもしれません。この初期段階で変化に気づき、正しく認識することが、将来の髪の状態を大きく左右します。多くの方が薄毛の始まりとして意識するのは、抜け毛の本数です。一般的に、人は一日に五十本から百本程度の髪が自然に抜けており、これは正常なヘアサイクルの一部です。しかし、枕や排水溝に明らかに以前より多くの髪の毛が残っていたり、手で髪をかき上げただけで何本も抜けてしまったりする状態が続くようであれば、注意が必要です。ただ、本数以上に注目すべきなのは、抜けた毛の「質」です。正常なヘアサイクルを終えた抜け毛は、太くしっかりとした毛根を持っています。一方で、細く短い、まるで産毛のような毛が多く抜けている場合は、髪が十分に成長しきる前に抜け落ちている証拠であり、薄毛の初期症状である可能性が非常に高まります。また、髪全体のボリューム感の変化も重要なサインです。以前と同じようにスタイリングしても髪がうまくまとまらない、トップがペタッとしてしまう、地肌が透けて見えるようになった、といった感覚は主観的なものですが、見過ごせない兆候です。特に、髪が濡れているときに地肌の見える範囲が広がったと感じるなら、それは髪一本一本が細くなっている、いわゆる「軟毛化」が進行しているサインかもしれません。さらに、頭皮の状態もチェックしましょう。フケやかゆみ、赤み、過剰なべたつきといった頭皮トラブルは、それ自体が直接の薄毛の原因ではありませんが、頭皮環境が悪化している証拠です。不健康な土壌からは健康な作物が育たないのと同じで、頭皮環境の悪化は健康な髪の成長を妨げ、薄毛を進行させる一因となり得ます。これらのサインは、一つだけでは判断が難しい場合もありますが、複数が同時に現れている場合は、薄毛が初期段階にあることを疑い、次の行動を考えるべきタイミングと言えるでしょう。