多くの男性が鏡の前で自分の髪を整える際にふと抱く疑問が、AGAによる薄毛は一体体のどの部分から、あるいは頭部のどの箇所から明確に始まるのかという点です。医学的な統計や臨床データに基づくと、AGAの発症パターンには大きく分けて3つの入り口が存在することが明らかになっています。1つ目は前頭部の生え際から後退していくタイプで、左右の剃り込み部分から徐々にM字型に薄くなっていくのが特徴です。このパターンは鏡を見た際に変化に気づきやすく、多くの人が最初に違和感を覚えるポイントとなります。2つ目は頭頂部、いわゆるつむじ周辺から薄くなっていくタイプで、これは自分では視認しにくいため、家族や友人からの指摘、あるいは合わせ鏡や写真撮影の際に初めて気づくケースが少なくありません。そして3つ目が、前頭部と頭頂部の両方が同時に進行していく複合型です。なぜこのように特定の部位から始まるのかという謎の答えは、毛包に含まれる5αリラクターゼという酵素の分布密度にあります。AGAの主な原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)は、テストステロンがこの酵素と結合することで生成されますが、この5αリラクターゼは前頭部や頭頂部に多く存在し、側頭部や後頭部にはほとんど存在しません。これが、AGAがどこから始まるかを決定づける生物学的な要因となっており、後頭部の髪が最後まで残る理由でもあります。一般的に、日本人を含む東アジア人は頭頂部から進行するタイプが多い傾向にあると言われていますが、近年では食生活の欧米化や生活習慣の変化により、若年層を中心に生え際からの後退に悩む人も増加しています。自分がどのタイプに当てはまるのかを知ることは、適切な対策を講じるための第一歩です。例えば、額の生え際が以前よりも指一本分広くなったように感じたり、産毛のような細い毛が増えたりした場合は、M字型の進行が始まっているサインかもしれません。一方で、つむじ周りの地肌が以前よりも透けて見えたり、髪の毛が渦を巻く力が弱まってペタンと寝てしまったりする場合は、頭頂部からの進行を疑うべきです。AGAは進行性の疾患であるため、どこから始まったとしても、放置すれば徐々に範囲は広がっていきます。初期段階であればあるほど毛包の寿命を延ばすことが可能であり、治療の選択肢も豊富にあります。自分の頭髪の変化を「加齢によるものだ」と決めつけず、どこから変化が起きているのかを客観的に観察することが、将来の髪を守るための重要な鍵となるのです。
AGAの兆候は額か頭頂部のどちらから現れるのか